ZEN CLUB

豊かな暮らしを創るコミュニティ・ペーパー

Number.482

認知バイアス

Relay Essay 語りの部屋

人生が困難などではない。
あなたが人生を困難にしているのだ。
人生は極めてシンプルである。

-アルフレット・アドラー-
(オーストリア出身の精神科医、 心理学者、社会理論家)

会社の休日を利用して御殿場プレミアムアウトレットに出かけた。

あまりブランド品には興味がないが、家人と義妹にせがまれて、ようやく重い腰を上げた。

あるブランドショップに入った時のこと、まず入店時に20%オフのサービス券を貰った。「2割も全商品値引きだって」同行人は今買わなきゃ損とばかり目が輝きだした。

「随分と値引きするものだなぁ」と思いながら、バッグのコーナーに行った。

17万円のバッグが12万円との値引き表示があった。店員が来てレジでさらにさっきのサービス券であと2割引だと言う。つまり17万円が9.6万円になった。

ここで日頃の商売気が出た。「一体原価はいくらなんだろう?」「これでも利益が出るのだろうか?」

考えてみると、通販やテレビショッピングに最近この手の商法が多くみられる。

心理学を駆使して購買を煽るのである。不合理の選択のことを「社会心理学」で「認知バイアス」(認知の偏り)といい、この心理パターンをビジネスの世界に応用して利益を上げるケースが多くあるとのことである。

◆基準に引っ張られる(アンカリング効果)

人は最初に印象に残ったものが判断に影響を及ぼす。つまり17万円のバッグが9.6万円になったわけだが、商品には17万円の価値を感じる。

大きく値引くことで購買決定のハードルを下げている。

◆自分のものに価値を感じる(保有効果)

人は自分の保有しているものに高い価値を感じ、手放したくないと思う。

「効果がなければ返品ください」は一度保有すると手放さないことを見越している。

◆相対的に考える

人は、あらゆる選択を相対的な基準で考える傾向がある。

高級店では、普段なら高い物も、安く見えてしまう。

同じ量でも、大きな皿に「少量」より、小さい皿に「山盛り」を選ぶ。山盛りに満足感を感じる。

◆フレーミング効果

「脂肪分5%」のヨーグルトより「無脂肪分95%」のヨーグルトのほうが良く売れる。

◆希少性

人は入手困難なものに高い価値を感じる。

例えば個数限定販売など。

◆ウインザー効果

お客様の声、第三者の意見、口コミを信じる。

◆権威に従う

専門家や科学者など権威のあるものからの情報を信じやすい。

◆未来より「今」を優先する(現在志向バイアス)

人は、時間が経てば多くの利益、損失があると知っていても、目先の利益を優先する。

タバコを吸う(今の快楽のために、将来の健康を犠牲にする)

必要ないものでも衝動買いする。

◆他人の考えに同調する(社会的な証明)

人は、他人の考えや思想に影響を受け、自分の判断や行動を決定する傾向がある。

行列ができている店は、良い店だと思う。

店の椅子数を減らして混雑を演出する。

・・・等々である。日頃我々は至極全うなビジネスしか行っていない。至誠を尽くせば必ず通じると言ったところである。
 市場・顧客動向の変化の中、考えさせられる出来事だった。もちろん帰路車のトランクにはバッグが包装されて鎮座している。

寄稿:H.M