ZEN CLUB

豊かな暮らしを創るコミュニティ・ペーパー

Number.487

調整区域の開発許可・農地法の許可について

なぜなに?プロフェッショナル

昨年私の親戚から、調整区域の土地に甥が家を建てるから必要な手続きをして欲しいとの依頼がありました。その手続きというのは、その土地が田んぼのため、農地法の許可と開発許可を受けるというものでした。

これは行政書士の仕事になります。私は日常司法書士を業としていますが、一応行政書士も登録しています。ただ、一応登録しているだけなので、行政書士の業務はあまり詳しくありませんでした。今回も全く分からないので断ろうとしましたが、少々時間かかってもいいから是非やってくれ、と強い要請があり行うことにしました。そこから本やネットで勉強し今年の1月頭に申請を行い、今年の2月下旬に無事許可が出ました。その申請から許可までに驚いたというか、新鮮だった点があったので、みなさんにもお伝えしたく今回は体験談として書きました。

まずそもそも調整区域とは、「市街化を抑制すべき地域」として国の都市計画を定めた都市計画法の第7条に定義されています。簡単に言えば、家を建てて住むことは原則認めない、ということです。昭和の人口増の時代には、よく集落と離れたところに家が建ったりしたようです。集落から離れたところに家が建つと、行政としては新たにそこにインフラ整備する必要が生じ、非常にコストがかかることになります。よって、集落から離れたようなところに家が建てられないように調整するための制度として生まれたものです。ただ例外的に法が認めた条件をクリアすれば家を建てることが出来る、ということになります。

このような調整区域の制度を最初に聞いたときは、所有権に対する制限が凄いなと思いました。自分の土地なのに、限られた条件をクリアして許可を得ないと家を建てることが出来ない、というのは驚きました。特に今回は徒歩3分のところに急行も止まる駅もあり、近くには家が多く建っています。こんな場所まで調整区域かと驚きました。家しかないところも調整区域になっている場所もあります。立法趣旨と合っていないような気もしますが、調整区域である以上本件は許可が必要なものとなります。

今回の許可を得る条件は分家住宅である、ということでした。「分家」という言葉自体が懐かしい響きだな~と逆に新鮮に感じました。分家住宅という意味は、本家(親の住んでいる土地・建物)を継ぐ人(長男?)はその本家に住めば良いので許可は出ませんが、本家を継がない人(次男?長女?)は本家に住めないので本家とは別に住む土地、建物が必要になることから、分家の人間には許可が出る、ということです。

本件でも分家住宅の要件を満たすことを証明するためにたくさん書面で説明し、且つ、証拠書類も提出しほぼ半年がかりでなんとか無事許可が出ました。なかには1年がかりということもあるそうです。

以上を見ると調整区域は非常に制約が多く大変な土地であると思えますが、調整区域の場合は土地の評価額が低くなり、固定資産税等の税金が安くなるメリットがあります。私は司法書士ですので、お客さんの相続手続きに関与する機会がよくあります。少し前に調整区域ではない田や畑をたくさん相続した方がいました。その方はその相続した土地とは別の遠方に住んでいたため売却しようと考えて相続したものの、地元の不動産会社からその土地は田に囲まれて宅地として買う人はいないので売却は諦めるか、ただのような値段で田として売るしかない、と言われたそうです。

しかし、その土地は面積は大きく評価額は4,000万以上あり、毎年支払う固定資産税も多額になります。もしこれが調整区域なら評価額は非常に低くなり、治める固定資産税も非常に低額になることでしょう。そして相続税はそもそもかからない可能性すらありました。よって、調整区域が外れる話が出ると反対する方も結構いるそうです。

以上となりますが、調整区域という制度以外にも土地には様々な規制があるようです。その規制は建てる方の行動を制限しますが、他方、隣の人の日照を確保したり、火事が広がらないようにして他者の利益となっていたりします。勉強しだすとなかなか面白いものもあり、今後土地規制の勉強をしていこうと思っています。また面白いものがあれば別の機会に書いていきたいと思いますが、調整区域についてはここまでとさせて頂きます。

松村 和敬

Profile(司法書士・行政書士)

松村 和敬さん

相続・贈与等の不動産登記全般、遺言、成年後見等を業務として行っております。
また、税理士と共同で業務を行っておりますので、税務も含めお気軽にご相談ください。

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