ZEN CLUB

豊かな暮らしを創るコミュニティ・ペーパー

Number.488

信頼揺るがす「メード・イン・ジャパン」

COLUMN

女性の社会進出が一般的ではなかった大正から昭和にかけて、日本一の企業を率いた人物「鈴木よね」。財閥をもしのぐ年商を上げた神戸の商社、鈴木商店の女主人。貿易立国の黎明期、あらゆる商品を世界に売りまいた。

鈴木商店は昭和金融恐慌で破綻するが、流れをくむ企業が老舗の名門として各分野に残る。双日、IHI、帝人、日本製粉…。製品の性能データ改ざんが相次いで発覚した某製鋼所もその一つだ。主力の鉄鋼製品、収益のあるアルミや銅製品…。長期にわたり、組織の隅々で不正を繰り返していたことが明らかになった。問題製品の納入先は国内外で延べ約500社に上る。安全が重要視される自動車や新幹線、航空機の素材にまつわる不祥事を欧米の新聞、テレビも連日大きく取り上げている。

欠陥エアバックや大手自動車メーカーの無資格検査問題にも触れ、その製品が世界で高い評価を受けてきた「メード・イン・ジャパン」の信頼性に疑いの目を向けた報道もある。問題は一企業の枠を超え、日本の製造業全体にも影響を及ぼしかねない深刻な事態だ。「ものづくり日本」の一員として地道に信用を積み上げてきた多くの企業にとっては、歯がゆく、許し難い思いだろう。

T.M