ZEN CLUB

豊かな暮らしを創るコミュニティ・ペーパー

Number.488

第343話 「一人での帰省」

がいじんトーク

妻や子供たちを連れずに帰省するのは、いつ以来だろう。学生の頃以来かもしれない。

そうだとすると35年以上前になる。あの頃は、仙台の街を我が物顔でかっ歩していたが、今はもう知らない街になってしまった。駅ビルのS-PALも2度の震災で変わってしまっているに違いない。

最近は家族で帰省する時はマイカーばかりで、街は通過点。実家へ行くのが優先になり、着くなり、そこでゆっくりしてしまう。子供たちは勝手に仙台の街に出て帰省中を満喫している。今は、私より仙台の街を良く知っているかもしれない。

今回は、その知らなくなった街での弟との待ち合わせで2泊3日の始まりになる。

今回の帰省は両親にはサプライズで、S-PALで弟と食事をして、その日は弟の家に泊まり、次の日弟と二人で実家に行き、両親を驚かせる予定にしている。

今回、実はもう一つの大きな「一人で帰省」した理由がある。

それは「詫び」と「今の心境」を両親に伝えたくて帰省を決行した。

詫びは、宮城を離れて40年来の親不孝と就職時に書いた手紙の実行が出来ない事の詫びだ。最近こそ、年に一度は家族で帰省しているけど、その前までは、仕事と子供のことを理由に数年に一度帰省する程度の親への対応。それと就職時に「今は名古屋で就職するけど、将来いつかは宮城に戻ること」を誓った手紙を書いていたが、今この歳になってそれが実現出来ない事へのお詫びをすることがメインだ。

それに伴い、今後発生するだろう両親の相続が起こった場合の私の考えを伝えておきたくて、両親とたった一人の弟が同席する場面が必要だった。

今年、長男に男の子が出来た。長女が結婚をする。子供たちは、それぞれ名古屋で生活の基盤が出来始めている。両親が生きている間は宮城に帰省することがあっても、その後は、宮城に戻ることはないだろう。だったら私にしかできない決断をしなければならない。

両親と私と弟だけの席で。

「両親からの相続の辞退。相続の一切を弟に譲ること」の宣言をしておかなければならない。私の身に何かがあってからだと、相続権のある子供たちが「父が長男」であることを理由に弟と僅かの財産を争うようなことがあってはならない。身内の争いなんてあってはならない。両親の面倒も看ることも出来ない長男の子供が権利だけを主張しては、世間的にも見っとも無い話だ。今出来る事として、親としてのケジメをつけておきたい。

両親と私と弟。親子水入らず。昼ごはんを食べながら、昔話でもしながらゆっくりと時間を過ごしたい。今回ばかりは他人に邪魔はされたくない。

不動堂