ZEN CLUB

豊かな暮らしを創るコミュニティ・ペーパー

Number.489

第344話 「強く生きた証を...」

がいじんトーク

編集室より

1988年7月号より毎月連載してまいりました「がいじんトーク」の作者「不動堂」ですが、闘病の末、昨年10月に永眠いたしました。長年の間、ご愛読いただきまして誠にありがとうございました。今月から3月号までは「不動堂」のご家族による原稿を掲載させていただきます。

2017年10月2日 父は息を引き取りました。57歳でした。

3年前の夏、父は身体に違和感を覚えた様子で市販の薬をいくつか飲んでいました。酒好きの父のこと「またいつもの呑み過ぎのせいか…」と思っていた私。はじめは気にも留めていませんでしたが、数か月間、父の身体はおかしなままでした。熱が出ては下がって下がったと思ったら上がって、時に体温計が39度を示すこともありました。仕事には休まず行くものの帰宅するや否や酒を呑まずに布団に入ることもしばしばありました。相撲取りのように膨れたお腹も引っ込むほど痩せて、私たち家族はもちろん周囲の人たちも心配するほどだったと思います。

病院で検査入院をした末、家族が病院に呼び出されました。そこで、医師から【ステージⅣの大腸がん】であることを告知されたのです。父の身体は手術ができないまでに癌に侵され完治する見込みはなく寿命が短いことを知りました。

父の心境を察すると胸が締め付けられるような思いでしたが、父は「これは運命だ」と言っていました。また、「急な交通事故や病で亡くなるよりも病と闘う時間があるだけ幸せだ」と癌と向き合うことを決心していました。

闘病生活の中、時に悲しみや不安に押しつぶされそうになり、地元の友人に電話し弱音を口にしていたことを知っています。一人になったとき泣いていたことも娘の私にはわかります。それでも、やっぱり父は「強いな」と思った瞬間は数多くありました。

信念は決して揺るがない。家族のために時間を費やすこと。自分らしい生き方をすること。最期まで生き抜くこと。最期まで呼吸を止めないこと。

父の最期は、最高にかっこよく誇らしい姿でした。

不動堂の娘

長年がいじんトークをご愛読してくださっている皆様、今回このような形での父の訃報となりましたこと誠に申し訳ございません。また改めて今日までご愛読していただきましたこと感謝申し上げます。まだまだ皆様に父のことでお伝えしたいことがありますので、次号、次々号、引き続きご愛読いただけましたら幸いです。