ZEN CLUB

2021年02月号 Number.526

ふるさとの逸品を訪ねて

第2回 青森県三戸さんのへ南部なんぶ

青森県南部町で栽培する無農薬・無化学肥料の有機JASリンゴ
医者いらずのリンゴ。

果樹の無農薬・無化学肥料栽培で有機JAS認証を取得するのは、高温多湿で病気の発生しやすい日本では、特に難しいといわれています。そんな環境の中で、リンゴ生産地として不動の日本一を誇る青森県に、有機JAS認証取得のリンゴ農家が3軒存在します。その一軒、和楽堂養生農苑わらくどうようじょうのうえんを紹介します。

自らの経験により〝薬になるリンゴ〟を発想

青森県三戸郡南部町のリンゴ農家三代目※の留目とどめ昌明さんは明治大学農学部を卒業した翌1971年、アメリカに留学。研修先のオレゴン州ポートランドに滞在中、ステーキ・ハム・ソフトクリームなどのアメリカ的食生活がたたって、剣道で痛めていた腰が悪化。西洋医学では治らず、帰国後東洋医学の食事療法で完治しましたが、「食べ物のすごさと大切さを痛感した」といいます。そこから持ち前の探究心で東洋医学を学び、鍼灸師の免許を取得。また同時に、父親がリンゴの生産量を増やすために使っていた農薬で体を痛めた経験から、無農薬・無化学肥料栽培に転換しました。「百姓は、効率ではなく健康を考え、人に役立つ、体にいいものを作らなくてはいけないと気づき、【薬になるリンゴ】を発想した」と強く語ります。

リンゴの見立ては手に持ったときの重さと色。ここに並ぶのは「ふじ」の特選品。白い粉はオリジナルのミネラル栄養剤

栄養と強さとおいしさを兼ね備えたリンゴ

リンゴの主成分は、血圧上昇を防ぐカリウム、動脈硬化や花粉症を抑えるポリフェノール、貧血予防効果のあるリンゴ酸、酸化を防ぎ鉄分吸収を高めるビタミンC、食後のコレステロールを吸収し血糖値上昇を抑える食物繊維などで、生活習慣病予防、虫歯予防、老化防止効果などが期待されています。まさに【一日一個のリンゴは医者を遠ざける】というイギリスのことわざ通り栄養豊富です。留目さんはそれを実現しようと【薬になるリンゴ】作りに邁進しています。土壌を研究し、独自の肥料・栄養剤を開発。そして昔ながらのまるば丸葉栽培で5~7年かけて木を大きく高く育ててから実をならせています。この方法は根が深く張り、味も安定し、台風にも強く100年持つといいます。

ここのリンゴは酸味と甘味と香りがともに強く、この日収穫した「ふじ」は糖度が20度(平均は15度)。そのハイレベルな甘味に酸味が絡み、バランスの良い甘酸っぱさに加え、果肉も密に締まってジューシーです。果皮や芯、種までもおいしく食べられます。初めてかじったときは、歯にかかる果肉の圧と究極のなめらかな舌触り、そしてほとばしる果汁に驚く新鮮な体験でした。リンゴのおいしさの新発見です。

100年実るリンゴは100年かけて1本1本、そして1個1個、お世話します
「明け方にかけて冷え込むと、密度が増して甘くなります」と休憩中に糖度を計測する留目さん

和楽堂養生農苑わらくどうようじょうのうえん