ZEN CLUB

2021年 12 月号 Number. 536

ふるさとの逸品を訪ねて

第12回 大阪府羽曳野市

食の都 大阪が誇る生粋の地ワイン
河内の風土が磨くワイン。

大阪府の南東部、生駒や金剛山系に囲まれた河内かわち平野の中央に位置する羽曳野市。世界遺産「百舌鳥もず古市ふるいち古墳群」の「古市エリア」にあたる市域には、大小さまざまな古墳が点在し古代ロマンの息吹にあふれています。羽曳野はまた、「大阪ワイン」の一大産地。丘陵地にはぶどう畑が広がり、新鮮なぶどうを原料に個性豊かなワインが醸造されています。

羽曳野市
生活環境部観光課
課長 南口 修二さん

100年続くぶどう栽培の歴史

大阪は、実は日本でも珍しい都市ワイナリーを有するワイン生産地です。府内で原料のぶどう栽培が始まったのは明治11年頃。1884(明治17)年に現在の柏原かしわら堅下かたしもに甲州ぶどうの苗が導入されると、中河内や南河内地域へと広がったと伝わります。羽曳野市の主要産地駒ヶ谷こまがたにでは、1913(大正2)年に大阪で初めてデラウェア種の栽培を開始。以降、ぶどう栽培は急速に拡大し、昭和初期の大阪は栽培面積及び生産量で山梨県を抜き、全国1位を誇ったそうです。「日照を確保できる緩やかな傾斜地、温暖小雨の気候など、地域一帯はぶどうの育成に適した条件を備えています」。羽曳野市観光課の南口さんは、特産品を育む風土をそう語ります。

伝統の品種で醸すワイン

ワイン造りに取り組むきっかけは、規格外の食用ぶどうを活用するためであったとか。1914(大正3)年、初めて本格的な醸造所が柏原市に誕生。1934(昭和9)年には、羽曳野市においても現在の㈱河内ワインや飛鳥ワイン㈱の創業者がワイン醸造に着手するなど、ワイナリーの歴史を今に繋いでいます。  大阪ワインの特徴の一つは、デラウェアなどの食用ぶどうでワインを醸造すること。「他の産地では醸造用のぶどうを使うのに対し、食べるぶどうを香り高いワインに造りあげるのはこの地域ならでは。各ワイナリーの創意工夫の賜です」と南口さん。今夏、地域資源を活かしたワイン造りが評価され、国の「地理的表示(GI)」※1を取得。原料及び製法における条件を満たしたワインに限り、「GI大阪」※2を表示できます。地域ブランドの誕生は、産地の歴史に新たな1ページを刻んでいます。

飛鳥ワイン

「いいワインはいい大地から」をモットーに、自社農園のすべてが「大阪エコ農産物」の認証を取得。無化学肥料による循環型農業を目指し、健全なぶどう栽培と醸造へのこだわりを追求している。

飛鳥デラウェア2021

青リンゴのような若々しい香り、トロピカルフルーツを思わせる爽やかで濃厚な味わいが特徴の甘口ワイン。アルコール度数9%

飛鳥ワイン株式会社

河内ワイン

1934(昭和9)年創業の西日本屈指の老舗ワイナリー。現在、四代目当主がぶどう栽培からワイン醸造までを一貫して手がけ、「ワイナリー見学会」などファンづくりの活動にも積極的に取り組む。

金徳葡萄酒デラウェア2021

もぎたてのぶどうを頬ばっているかのようなフレッシュな香り、広がりのある旨味と酸味が特徴。和食にも合わせやすい逸品。

株式会社河内ワイン

仲村わいん工房

自然農法によるこだわり抜いたぶどうの実だけで仕込む100%自家栽培・自家製造のワイナリー。醸造はもちろん、瓶詰めやラベル貼りに至るすべての工程に“二代目がんこおやじ”の当主が携わる。

プラチナがんこ

工房で製造されるワインの中でもフラッグシップに相当する希少ワイン。当主の絶妙なブレンドにより誕生した生産本数限定品。

仲村わいん工房