ZEN CLUB

2023年 01 月号 Number. 549

Interior Idea

〈ペレットストーブ〉13 環境にもやさしい炎のゆらめき

以前ノルウェーの公共放送局で約8時間ただ暖炉の炎を映すだけの番組が放送され、20%もの視聴率だったことが話題になりました。
今ブームとも言えるキャンプでも、焚き火を楽しむために行くという人が少なくありません。
炎のゆらめきは暖かさとともに、癒しも与えてくれるのです。

インテリアアイディア:〈ペレットストーブ〉13 環境にもやさしい炎のゆらめき

一般住宅の約20畳の2階リビングに設置されたペレットストーブ。この山形県のお宅ではエアコンの使用は夏の間だけ。冬場はペレットストーブのみで十分暖められているので、ランニングコストも抑えられているとのこと。

ペレットストーブ

「1/f(エフぶんのいち)ゆらぎ」という言葉を聞いたことはありませんか? 生体のリズムは基本的に1/fゆらぎをしていて、人が五感を通して1/fゆらぎを感知すると生体リズムと共鳴し、自律神経が整えられリラックスすると言われています。

人の心拍や水のせせらぎ、木漏れ日、名曲と呼ばれる音楽も1/fゆらぎを示すとされ「炎の揺れ方」もその代表的なものの一つ。暖炉や焚き火の炎を見つめているとゆったり癒されていくのには科学的な根拠があるのです。

しかし暖炉や薪ストーブは日本の住宅事情ではなかなか難しいところ。そこで今注目されているのが「ペレットストーブ」。木を燃やして暖を取るという点は薪と同じですが、薪の代わりにおが屑などを圧縮成形して作る「木質ペレット」を使用するので、扱いやすく環境にもやさしいストーブです。

今年創業105年を迎える、山形県の山本製作所遠藤ゆかさんにお話を伺いました。

「弊社は1918年から農業用機械の製造販売を行ってきた中で、温風で籾を乾燥させる技術を応用して2003年より木質ペレットストーブの開発に取り組んできました。農業と深く関わってきた弊社ですから、その技術と経験を活かして自然環境の分野に貢献したい。ペレットストーブは電気も使いますが、間伐材や製材所から発生するおが屑など今まで活用されなかった木材を燃料とする、新しいエネルギーのかたちを提案できるものだと思います」

燃焼中には煙がほとんど出ず、排気筒を施工する必要はありますが煙突は不要。室内の空気も汚さず匂いもありません。大きくなったり小さくなったり、常に表情を変える炎は、不思議とずっと眺めていたくなる魅力があります。

「ペレットストーブという名称は徐々に知られてきましたが、設置・施工が簡単なこと、誰でも簡単に使えることなど、ペレットストーブの良さはまだ十分に知られていないと思います。まずは全国の取扱店や展示スポットでペレットストーブの良さを実感していただきたいですね。ホームページで実機見学もお申込みいただけます。お気軽にお問い合わせください」

ペレットストーブのメンテナンス
灰はストーブ内の箱に溜まり、週に1回程度引き出して廃棄します。シーズンオフには購入店でメンテナンスを。
ペレットストーブ「禅」
世界的工業デザイナー・奥山清行氏による伝統的なデザインで、ストーブ全体が鋳物で作られたペレットストーブ「禅」。
ペレット
ペレットの消費量は部屋の広さや断熱性能・使用時間で変わりますが、だいたい中火で1時間に約1kgほどが目安です。

株式会社山本製作所