ZEN CLUB

2022年 01 月号 Number. 537

不動産・建設関係のトレンド

広がりを見せる「SDGs」と「PPP/PFI」

2015年の国連総会で採択された持続可能な開発目標「SDGs」は、すでに多くの企業が取り組み不動産に関わる企業にとっても無関心ではいられない、社会的なトレンドキーワードとなりました。
人の暮らしや社会・経済の基盤となる「まちづくり」に深く関わる不動産・建設業はSDGsの達成に大きな役割を担います。
そこには行政からも多大な期待が寄せられており、国が主導する公民の連携「PPP/PFI」によっても推進されています。

一般認知度が高まり
CSRにも深く関わるSDGs

様々なメディアで取り上げられる機会も増え、「SDGsという言葉を知っている」という人は、すでに約8割に達しようとしています(損害保険ジャパン株式会社「SDGs・社会課題に関する意識調査」)。

SDGsは「誰一人取り残さない」という誓約のもとに17の目標、その目標に紐付いた169のターゲットを掲げ、世界中の全ての人に関わる問題の解決を目指しています。今では個人の活動も盛んに行われていると同時に「企業の社会的責任=CSR」としても多く取り入れられるようになりました。

SDGsといえば「環境保全」のイメージが強いかもしれません。「サステナブル=持続可能な」という言葉は当初、環境問題とともに社会に広まりました。

資源の無駄遣いをなくす3R(リデュース、リユース、リサイクル)や循環型社会の推進、地球温暖化防止、また、無秩序な開発や乱獲によって自然資源の枯渇が危ぶまれる一方で、食べられるのに廃棄される莫大な量のフードロス。

こうした問題と並べて耳にする機会が多かった「サステナブル」ですが、「持続可能」であるということは全ての人が暮らしやすい、生きやすい社会を目指そうというものであり、人を取り巻くあらゆる環境の問題と言えるかもしれません。

「誰一人取り残さない」ために
誰もが挑戦できる多様な目標

SDGsの17の目標と169のターゲットを踏まえ、日本政府は達成に向けて中長期国家戦略「SDGs実施指針」を策定しました。その中で8つの優先課題を提示しています。

  1. あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
  2. 健康・長寿の達成
  3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
  4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
  5. 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
  6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
  7. 平和と安全・安心社会の実現
  8. SDGs 実施推進の体制と手段

すでに各業界、企業が取り組みを始めており、それは不動産・建設業界も例外ではありません。多くの企業がいくつかの目標を掲げて活動する中、専門部署を設け17の目標全てに挑戦する大手企業もあり、その取り組み方は企業ごとに様々です。不動産・建設業では、共通して「まちづくり」や「環境保全」に関わる目標が目立っています。

寄せられる大きな期待は行政からも
PPP/PFIはその一つの表れ

「PPP/PFI推進アクションプラン」では上下水道、公営水力発電、道路といったインフラや、空港、クルーズ船向け旅客ターミナルなどの施設、また文教施設、公営住宅なども重点分野に挙げられています。

ZENグループでもすでにPPP/PFI事業に取り組んでおり、2019年には名古屋大学の学生寮「名古屋大学インターナショナルレジデンス大幸」が竣工しました。

また、同年から「愛知県営鳴海住宅PFI方式整備事業」として既存住棟などの解体撤去から建替住棟などの建設に携わり、西棟は完成引渡済み、東棟も2022年1月完成予定です(2021年12月現在)。

名古屋大学ではさらに、現在教育研究棟や福利厚生棟の整備なども進行中です。

PPP/PFI事業にはSDGs達成に貢献する側面のほか、企業としての信頼性向上も期待でき、ZENグループでは今後も積極的に不動産・建設・生活支援のノウハウを活かして取り組んでいきます。

ZENグループも積極的に取り組む
PPP/PFI事業の広がり

様々なメディアで取り上げられる機会も増え、「SDGsという言葉を知っている」という人は、すでに約8割に達しようとしています(損害保険ジャパン株式会社「SDGs・社会課題に関する意識調査」)。

SDGsは「誰一人取り残さない」という誓約のもとに17の目標、その目標に紐付いた169のターゲットを掲げ、世界中の全ての人に関わる問題の解決を目指しています。今では個人の活動も盛んに行われていると同時に「企業の社会的責任=CSR」としても多く取り入れられるようになりました。

SDGsといえば「環境保全」のイメージが強いかもしれません。「サステナブル=持続可能な」という言葉は当初、環境問題とともに社会に広まりました。

資源の無駄遣いをなくす3R(リデュース、リユース、リサイクル)や循環型社会の推進、地球温暖化防止、また、無秩序な開発や乱獲によって自然資源の枯渇が危ぶまれる一方で、食べられるのに廃棄される莫大な量のフードロス。

こうした問題と並べて耳にする機会が多かった「サステナブル」ですが、「持続可能」であるということは全ての人が暮らしやすい、生きやすい社会を目指そうというものであり、人を取り巻くあらゆる環境の問題と言えるかもしれません。

TOPIC 1

愛知県営鳴海住宅PFI方式整備事業

現在建替工事中の愛知県営鳴海住宅は2DKと3DK合わせて120戸の公営住宅で、ZENグループからは麦島建設が代表企業(建設担当)として、ユニホーが構成員(建設担当)としてプロジェクトに参画している。

地域の方の要望に応えて既存の桜を残しつつ、児童遊園や緑地帯などを適切に配置しており、住みやすさや周辺環境に配慮した。

将来的な家族構成の変化に対応するため、4DKへの間取り変更にも対応可能な設計となっている。

(西棟2021年4月完成引渡済み、東棟2022年1月完成予定 *2021年12月現在)

TOPIC 2

名古屋大学(東山)
地域連携グローバル人材育成拠点施設整備等事業

名古屋大学東山キャンパスにおいて、工学研究科を中心とした先端的な教育研究施設と産学連携施設からなる教育研究棟と、学生のための食堂と物販店舗が入る福利厚生棟を整備。池田建設が構成員(建設担当)、ライフポート西洋が構成員(維持管理担当)、ユニホーが代表企業(SPC運営・民間付帯施設事業担当)として参画。

整備予定の交流広場は名古屋大学の学生グループが考えたアイディアを基に設計。福利厚生棟の一部をユニホーが区分所有をし、民間付帯施設事業を行う予定。

(教育研究棟・福利厚生棟2023年2月、交流広場等2023年9月完成予定)

いまさら聞けないキーワード

1持続可能な開発目標 SDGs

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

2PPP/PFI

PPP(Public Private Partnership)は官と民が連携、協力しながら事業に取り組む手法を指し、PFI(Private Finance Initiative)は公共施設や設備の設計、施工、維持管理、運営などに民間の資金やノウハウを活用すること。

1992年に「小さな政府」を目指していたイギリスで生まれた手法で、日本では1999年にPFI法が施行され取り組みが開始されました。

ワンポイント コラム

住まいとSDGs ~確定申告シーズンに検討したい3つの税制~

もうすぐ始まる確定申告シーズン、「SDGsも気になるけど、税金のことも気になる」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、住まいとSDGsに関連する3つの税制をご紹介します。

老朽化や住まい方の変化によって、家を建て替えるのではなく“住み続ける”ためのリフォームという選択肢はSDGsの17の目標の中の1つ「住み続けられるまちづくりを」に合致します。

住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除という制度をご存知の方も多いと思います。この住宅ローン控除はマイホームの新築時のみならず、増改築等をした時にも使うことができるのです。

また、より長く“住み続ける”ためには、災害時の不安も払拭しておきたいもの。ご自身が所有するお住まいの家屋(1981年5月31日以前に建築されたもの)について住宅耐震改修をした場合に、住宅耐震改修特別控除を受けることができます。これは一定の金額をその年分の所得税額から控除することができます。

SDGsの目標7は「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」というもの。

“脱炭素”という言葉を耳にする機会も非常に多くなりました。個人住宅でも省エネやクリーンエネルギーに対する関心は一層高まっています。

例えば、断熱工事や太陽光発電装置などの設備の取替えまたは取付け工事といった一般省エネ改修工事をした場合には、住宅特定改修特別税額控除を受けることができます。これも一定の金額をその年分の所得税額から控除することができます。

今回はもうすぐ始まる確定申告シーズンに向けて、皆様のお住まいとSDGsに関連する税制(2021年11月18日現在)をご紹介しました。適用要件などが複雑なものも多く、頻繁に制度改正が行われるものもあります。その時々の制度を正しく理解し適用を受けるためには、計画段階から専門家へご相談されることをお勧めします。