ZEN CLUB

2025年 03 月号 Number. 575

<ZENグループの今>プロジェクトing

愛知県名古屋市

駅近の狭小地に特化した 「木3共」の新商品

「APT LIBRE-ONE」が 1月に誕生!

-交通や生活の利便性が高い駅近エリアは、土地活用を考えるオーナー様にとっては賃貸住宅経営の『理想の地』。
しかし、木造の共同住宅においては「木3共」(木造3階建て共同住宅)という仕様を満たす必要があり、簡単ではありません。
そんな駅近に特化した木造賃貸住宅にチャレンジしたのが、株式会社ユニホー。
オーナー様の夢を叶えるために独自の手法を追求し、1月に完成したばかりの新商品について商品開発課の安藤さんにお伺いしました。

開発事業部 商品開発課 安藤 猛

「木3共」商品の開発に初期から関わっており、今回の新商品の開発リーダー。
既成概念にとらわれない設備仕様やデザインを日々追求し、土地の収益性の高い建築物を提案し続けている。

「木三共」仕様の概念

木造3階建て共同住宅
  1. 1時間の非損傷性や遮熱性、遮延性が必要
  2. 建物の周囲の外壁面に幅3mの通路を設ける(規制緩和あり)
  3. 避難上有効なバルコニーが必要
  4. 3階の開口部の防火設備が必要

狭小地に対する知見と新しいアイデアの必要生

―まずは「木3共」の概念と、新商品開発の経緯を教えてください。

土地活用の一つとして賃貸住宅経営は根強い人気ですが、比較的少ない投資で建築が出来る3階建ての「木造賃貸住宅」については本来、耐火建築物としての基準をクリアしないといけません。

しかしコストパフォーマンスを最大限に引き出すために、火災時の加熱に1時間耐えうる性能を有する構造や、各住戸へのバルコニー設置など、さまざまな設計基準を全て満たした木造の3階建て共同住宅が「木3共」と呼ばれる準耐火仕様の建物です。

もともと「APT LIBRE」という木3共商品を当社でも扱っていましたが、比較的広い整形地ばかりで、狭小の非整形地におけるノウハウは多くありませんでした。

しかし、駅近での建築を希望されるオーナー様は後を絶たず、一般の注目度も高いこのエリアで最大限に建物をPRする工夫と、狭小地での知見が必要だと感じました。何かワンテーマをプラスするという意味で『ONE』を付け、「APT LIBRE-ONE」という新商品の開発がスタートしました。

なぜオーナー様から要望が高い?

木造3階建て共同住宅 5つのメリット

  1. 鉄骨造・鉄筋コンクリート造より建築費が安い
  2. 「木3共」仕様による緩和規制の適用でコストパフォーマンスが良くなる
  3. 狭い土地でも柔軟な設計プランに対応可能
  4. 構造計算が義務化されているため、より安心感がある
  5. 1年に計上できる減価償却費が大きい

基準内での自由度を探り徹底的にデザインを追求

―開発のポイントを教えてください。

大前提として、コンパクトにする必要がありました。

木3共の経験が豊富で、トレンドにも敏感な設計事務所2社とタッグを組むことで、基準内のギリギリまで自由度を模索。

過去の商品では片廊下タイプでしたが、新商品では中階段タイプにして土地を有効活用しました。

また、他社商品と差別化するために掲げたのが、『デザインにこだわる』という点。

これは、価値ある商品は必ず入居者様が「住んでみたい」と感じていただけるということを社内で共有したかったという理由もあります。

建材・内装材・照明器具メーカー等とも早い段階より協議を重ねることで、一つ一つ具現化していきました。

「温白色」の電球を初めて採用することで、間接照明にありがちな『暗さ』を解消。
木製のドア
あえて壁側に光を当てて奥行きを表現した廊下など、さりげない計算がいっぱい。

―具体的にこだわったポイントは?

一番注力したのは木造賃貸住宅らしさを美しく魅せることです。

賃貸情報をスマホで検索する方も多い昨今、これまでのようなモノトーン一辺倒では目をひきません。

外観の一部やエントランスへの階段、玄関前の床、キッチン上部の天井などに木目のトレンド柄を採用し、見た目の美しさとやさしい雰囲気を両立させました。

また、トイレや洗面所、浴室にはデザイン性の良いアクセントクロスや主張の強いカラーを採用し、無機質なイメージとは180度変えています。

その他、奥行きを演出するために間接照明とダウンライトで統一したり、グレードの高い建具をチョイスしたりと、細部にまでこだわりました。

多少は自己満足の部分もありますが(笑)。

―コストとの戦いも大きかったのでは?

単純にグレードを上げるだけではコストが上がってしまい、収益に影響が出てしまいます。

コスト削減のために奔走したのはLDKと洋室の間の間仕切りドアです。

通常は木製が多いのですが、どうしても光の入れ方で広さを演出したく、アルミのドアを選択。

しかし価格は跳ね上がってしまうので、あらゆる会社をリサーチし、大阪のアルミメーカーにたどり着きました。

いわば、開発陣の執念です(笑)。苦労の甲斐があって、かなりコストダウンできたことは印象深い出来事ですね。

価値を上げる方法は既存商品にも繋がるヒント

―今後の目標等を教えてください。

関係者一同、仕上がりにはとても満足しており、これをきっかけに学んだことがたくさんあります。

単純に立地・平米数だけで平均的な家賃を設定するのではなく、同じ条件だとしても室内のグレードを上げることで金額に見合う価値が生まれるということです。

そのような考え方は既存商品にも必ず応用できますので、私たち全員がアイデアの引き出しを増やしていければと思います。

そうすることで、オーナー様に安心して事業を行っていただければ幸いです。

家賃に見合う「価値」を探っていくことが今後の開発にも必ず活きてくる
お部屋の奥行を表現する間接照明、食の愉しみを広げるペニンシュラキッチン、木目のスタイリッシュな天井など、トレンドを意識した多彩なアイデア。

PRの側面からホームステージングにもこだわり、随所にデザイン性の良いアクセントクロスを採用。